防災グッズの決定版「防災クマさん」| 防災コラム


クマさんの防災コラム♪
第6回 BCPの策定方法について(1)

前回は企業防災について報告しましたが、さらに、企業防災の中でいま注目が高まっているBCP(事業継続計画)について、その策定方法を2回に分けて紹介したいと思います。今回はその1回目です。

BCPの策定にあたっては、さまざまな方法が考えられます。そして、企業の規模や業種によっても選択すべき策定方法は変わってきます。ここでは直感的に一番わかりやすいものを紹介していこうと思います。

1.BCPの策定責任者 BCPの策定にあたっては、まず「誰が策定するか」ということが重要な問題です。BCPは企業の存亡にかかわる重要な計画である上、企業の行っている各事業に優先順位をつけなければならないので、全社的な視点がどうしても必要になります。そのため、BCPの策定は経営者自らがリーダーシップを持って行うべきです。また、従業員のBCPに対する理解が十分でないと、計画をきちんと実行することができません。比較的規模の大きな企業では、BCPに対する全社的な理解を得るために、各部署の責任者を策定に参加させることも重要です。

2.BCPの基本方針 BCPの具体的内容として、最初に自社のBCPの「基本方針」を定める必要があります。基本方針にはBCPを作成する目的やメリット、想定する災害や防災計画との関係性が含まれます。基本方針を定めることで、BCPの意義や目的、どのようなときに発動されるかといった基本的な枠組みを社内で共有しておくことができます。

3.事業と被害の分析 次にBCPに記載されるものは、事業と被害の分析です。これには、(1)自分の会社の重要業務、(2)想定する災害、(3)必要な資源が受ける被害、(4)業務停止による損失に会社が耐えられる時間(最大許容停止時間)が含まれます。例えば、Aという企業が主にネジを作っているとすれば、BCPには、(1)重要業務=ネジの製造、(2)想定災害=震度6強、(3)必要資源が受ける被害=機械が故障する、従業員が怪我をする、(4)最大許容停止時間=1ヶ月、などとなります。

次回はこの続きとして復旧のための対策や実行計画についてお話しする予定です。

(山崎紀之)

                                                          第5回 企業防災について

 防災という と、一般には個人や家庭での防災、地震への備えや非常食の備蓄などが想起されます。また、国や地方自治体による災害対策や防災訓練を連想する人も多いで しょう。その一方で、企業における防災はこれまで比較的注目されてこなかったように思われます。しかし、近年、企業の社会的責任が重要視される中、企業の 防災への取り組みも今まで以上に求められるようになってきました。国の政策では、中央防災会議において、地域の防災に企業がかかわっていくことや、企業が 事業継続計画を作成することが重要課題として挙げられています。また、地方自治体の中にも、東京都の震災対策条例(事業所に対し防災計画の作成を義務付け る)などのように、企業に対して防災への取り組みを求める動きがあります。以下ではこの防災計画や事業継続計画について簡単に紹介したいと思います。

企業防災における防災計画と事業継続計画

 企業におい て、地震や水害等の災害が起こったときの対策を準備しておくことのことを、一般に「企業防災」といいます。企業防災の第一歩としては「防災計画」というも のがあります。防災計画とは、災害が起きたときに従業員の安全を守ったり生産設備への損害を防いだりするために、あらかじめ作成しておくものです。例え ば、デパートやスーパーなどでは、地震や火災の発生時に買い物客や従業員を安全に避難させるために、事前に避難経路や誘導方法を決めておいて、従業員に教 えておく必要があります。また、工場などでは、建物や生産設備の損傷を防いだり、工場の火災や有害物質の流出が周辺に被害を及ぼさないように対策しておく 必要があります。このように、人命を守ったり損害を防いだりするために、災害発生時から災害直後までの緊急の対応策をまとめておくのが、防災計画なのです。

 防災計画 は、社会全体の防災という観点から、必要不可欠なものですが、企業にとっては防災計画だけで十分というわけにはいきません。防災計画を定めていた企業で実 際に災害が起こった場合、従業員の生命や工場の倒壊といった重大な被害は少なくて済むでしょう。しかし、エネルギー供給の停止や生産設備の破損、従業員の 出社困難などがあると、従来どおりの事業を続けることは難しくなります。事業が中断してしまったり、復旧までに長い時間がかかったりすると、顧客の信頼を 損ねたり取引先を失ってしまったりという事態になりかねません。その結果、たとえ生産設備などが復旧したとしても元の事業規模を維持することは困難にな り、最悪の場合、廃業しなければならなくなってしまうことも考えられます。

 災害による企業の倒産が相次ぐと、多くの雇用が失われ、サプライチェーンが混乱し、地域経済の活力が失われてしまいます。このような事態に陥らないために、企業そのものを災害から守る必要があります。そこで近年注目されているのが、「事業継続計画(BCP)」というものです。事業継続計画とは、災害による事業の中断を防ぎ、中断してしまった場合でも早期に回復させるための計画です。これは、もともとアメリカやイギリスで広く用いられているリスクマネジメント手法で、英語では「Business Continuity Plan」といい、「BCP」という略号を用いるのが一般的です。

 BCPの 基本は(1)自分の会社の重要業務は何か、(2)どんな災害がその重要業務にダメージを与えるか、(3)必要な資源(設備・エネルギー・人員など)にどれ くらいの規模の被害が予想されるか、(4)重要事業をいつまでに復旧させる必要があるか、の4つを分析し、その対策を検討し、文書にまとめておくことで す。例えば、生産管理者が出社不可能になった場合に誰が代行するかや、生産設備が破損した場合にどこに修理を頼むかといったことがBCPに含まれます。このような対策をあらかじめ決めている企業は、災害後にあわてて代行者や修理先を探す企業に比べて、事業の中断期間を短縮することができるのです。BCPを策定しておけば、災害後に重要な事業を継続していける可能性が高まるだけでなく、競合他社に先んじて復旧することで事業規模が拡大する可能性も広がるのです。

 次回はBCPの策定方法やメリットについてもう少し詳しく報告するつもりです。お楽しみに。
(山﨑紀之)

 



第4回 花折断層について

 こんにちは。クマさんの防災コラム第4回です。断層型の地震といえば、阪神淡路大震災が有名です。原因は野島断層の横ずれでした。実は、地震の原因となり得る活断層は日本全国津々浦々に走っています。リプロモのある京都市もその例外ではありません。京都市街の東の端に走るその断層は、花折断層(はなおれだんそう、はなおりだんそう)と呼ばれています。

 花折断層は北は滋賀県高島市、南は京都市の南端まで走る断層です。京都市街では、ちょうど京都大学の裏、北白川の疎水や吉田山の麓を通り、また紅葉で有名な、南禅寺や永観堂の付近を通っています。詳しく知りたい方は京都市が出している断層の地図をどうぞ。これを見るとちょうど住宅街の中を通っていることがわかります。少し不安になってしまいますね。いったい地震が起きる可能性はどの程度あるのでしょうか?滋賀県の発行しているレポートを見ると、今後30年間で断層が動く可能性は、ほぼ0%から0.6%だそうです。もしも地震が発生すればマグニチュード6.8から7.3の規模になると推定されています。そこまで神経質になることもないかもしれませんが、油断は禁物です。

 花折断層は京都市街から北へと伸びています。それはちょうど、鯖街道と呼ばれた、日本海側と京都の交易路と一致しています。現在は国道367号線となっているその道は、ちょうど山に挟まれた谷に沿って走っています。地球の長い歴史のなかで、断層が動くことで岩石が砕かれ、やわらかい土砂となりました。そのため断層にそって侵食が起き、平坦な谷となりました。そこを人間が道として利用するようになったのが鯖街道です。この道を通って、日本海から京都へと、鯖などの海産物が運ばれてきたのでした。こうして運ばれてきた日本海の海の幸は、京都の食文化の醸成に大いに貢献したことでしょう。たとえば、鯖寿司は有名な京料理のひとつです。活断層はひとたび地震をおこせば大きな被害をもたらします。しかし、遠い昔に活動したその痕跡が、土地の文化をはぐくんだという側面もあるのです。

 花折断層については、1966年に花折断層が発見されてから、京都大学を中心に多くの研究が行われています。京都大学総合博物館には、断層の断面を剥ぎ取った展示があります。他にも地震に関する説明があります。鯖寿司をかじりながら、断層の長い歴史を想像してみるのもいいかもしれません。(浅原正和)

                                                           



  第3回 長周期地震動について

 こんにちは。クマさんの防災コラム第3回です。前回は建物がどう地震に耐えるかについてお話しました。今回は最近わかってきた、長周期地震動と、建物の固有周期に関する話をします。

 柔構造の高層建築は、その建物地震の固有周期を長く取ることによって、地震の揺れの力を受け流す構造になっています。ところが、近年地震計の進歩によって、そういった高層建築に対して強く作用する地震動が観測されるようになってきました。

 建物にはそれぞれ固有周期というものがあります。そしてその固有周期と地震の揺れの周期が一致すると、建物はより大きく揺れるのです。ブランコの上で小刻みに体をゆすってもブランコは大きく揺れませんが、ブランコの揺れにあわせて体をゆすることで、ブランコが前後に大きく揺れるようになることを思い浮かべていただけるとわかりやすいと思います。 そういうわけで、地震の揺れと、建物の固有周期が一致すると、建物は大きな被害を受けることになります。一般に固有周期は、“かたい”建物、小さい建物では短く、“やわらかい”建物、大きな建物では長くなります。たとえば、関東大震災で、山の手の地盤の固い地域で、木造家屋に比べ土蔵の倒壊が多かったのに対し、下町の地盤のやわらかい地域では、逆に土蔵よりも木造家屋の被害が多かったという現象が知られています。地盤の固い地域では地震の揺れの周期が短く、“かたい”建物である土蔵が被害を受けたのに対し、地盤のやわらかい地域では地震の揺れの周期が長く、“やわらかい”建物である木造建築が被害を受けたのでした。

 建物の固有周期は、だいたい鉄筋コンクリート建築だと、建物の高さの0.02倍くらいと言われています。大きい建物ほど、固有周期は長くなるのです。200mの高層建築になると、固有周期は4秒くらいになります。このような周期の揺れがくると、高層ビルは大きく揺れることになります。新潟県中越地震の揺れが200km離れた六本木ヒルズを揺らし、エレベータを停止させたのは、地震の長周期成分が原因でした。ただ、今のところ、高層建築が倒壊するほどのエネルギーを持った長周期の地震動は観測されていないようです。しかし、建物自体の揺れは大きいため、中でオフィス機材が動きまわったり、棚が倒れる危険もあります。とくに東京は、地下構造の特殊性から、長周期の地震動が増幅されやすいとされています。最新鋭の高層建築であっても、備えをおろそかにしてはいけませんね。              

                                                         (浅原正和)  



  第2回 耐震構造について

 こんにちは。クマさんの防災コラム第2回です。前回は地震の種類についてお話しました。今回は建物が地震にどう耐えるか、という話をします。

 リプロモのある京都市には多くの古建築があります。その中、二条城の中にある本丸御殿が耐震性不足とのことで、補強工事が終わるまでの間、春秋に特別公開されていたのがしばし中止になるようです(国宝・二の丸御殿など、その他の施設は通常通り公開されています)。京都ではここ180年ほど大きな地震は起きていないので、比較的新しく建築された、もしくは移築された建築物は耐震性が証明されていないとも言えます。二条城本丸御殿も、明治になってから移築が行われたものでした。 その点、地震国日本にあって何百年も建ち続けている建築というのは優れた耐震構造であると考えられます。その代表例が、全国にある、寺院の五重塔でしょうか。法隆寺の五重塔を筆頭に、国宝だけでも山形から山口まで、全国各地に点在しています。これらは歴史上の数々の災害に耐えてきた優等生と言えるでしょう。関東大震災でも上野・寛永寺の五重塔は無事でした。五重塔にはどのような秘密があるのでしょうか。

 地震に耐える建物の構造のことを、耐震構造と呼びます。耐震構造には大きく分けて2種類あり、それぞれ、剛構造と柔構造と呼ばれます。剛構造とは、地震の揺れに対し力で耐える構造のことです。筋交いや耐力壁を組み込むことで建物を頑丈に作り、地震の力に対し力で耐える設計になっています。一方、柔構造とはそれと全く逆の考え方で、地震の振動を建物の構造で吸収し、柳に風と、受け流す作りを目指したものです。粘り強い構造体を用い、建物の固有周期を長く取ることで、地震の揺れが建物全体の構造にダメージを与えないような設計です。軽く作れることから高層ビルなどでよく見られます。

 五重塔はこの後者の設計思想に通じるものがあるようです。五重塔は、中央に一本の柱があり、その回りを複雑な木材の組み合わせがゆるく結合しながら下から上まで連続する、という構造になっています。これはまさしく柔構造の建築だということです。太古の大工さんは、柔構造という概念を理解していたのかもしれません。

 ところが柔構造で作られたビル、特に高層ビルには一つ弱点があります。それは風で揺れてしまう、という問題です。建物自体に害はないのですが、中にいる人にとって、あまり気分のいいものではありません。そこで、多くのビルでは、コアとよばれる、筋交いなどの入った剛構造的な構造をビルの中に入れています。ビルによっては、最上階に巨大な重りを設置し、建物が揺れたときそれを動かすことで揺れを抑える装置をつけているところもあります。これは制震装置でもあります。

耐震のほかに地震に対抗する方策として、制震と免震という考え方があります。制震とは、建物の筋交いが油圧で動くようにしたり、先ほどのように重りを動かすなどして、地震による建物の揺れを制御しようというものです。免震とは、積層ゴムなどを建物の下に入れることで地震の揺れ自体を建物に伝えにくくするものです。博物館や美術館など、建物が無事でも収蔵品が地震で壊れては困る建物でよく採用されています。

 自宅の柱を眺めながら、いざというとき私たちを守ってくれるであろう、建物の構造について思いを馳せるのも、たまにはいいかもしれません。      
                                              (浅原正和)
日本全国、五重塔の写真集です。
上野の国立西洋美術館では、免震構造についても学べます。芸術を味わうついでにいかがでしょう。  



第1回 地震の種類
 はじめまして。クマさんの防災コラム第一回です。このコーナーでは、防災に関する豆知識を書き加えていく予定です。 さて、防災クマさんはあらゆる災害時にその能力を発揮しますが、日本国内に住んでいる私たちが直面するであろう、最も甚大な災害は地震です。被害地域が広く、救助の手が伸びるまでに時間がかかることが、防災バッグの必要性を高めています。また、室内で物が散乱したり、建て付けが歪んで収納が開きにくくなったりしますので、リビングや枕元に置ける防災クマさんが本領を発揮する場面です。 
 
 さて、地震といっても、大きく分けて二種類あることをご存知ですか? 
 
 一つは、プレート境界型地震(海洋型地震)です。関東大震災や、予想されている東海・東南海地震・南海地震などがプレート境界型地震です。プレートとは、我々の地面を構成する岩石の層で、地球の一番表面にあり、より深部にあるマントルの上に浮いているような構造をしています。このプレートの境界面で起こる地震がプレート境界型地震です。日本には太平洋側から、フィリピン海プレートと太平洋プレートというプレートが伸張してきており、日本列島を構成するユーラシアプレート、北米プレートの下に潜り込んでいます。この潜り込む力に反発して、ユーラシアプレート、北米プレートが跳ね上がる動きをするのが、日本で起こるプレート境界型地震です。深いところで起こり、規模が大きく、被害を受ける範囲が広いことがこの型の地震の特徴です。
 
   もう一つは断層型地震です。阪神大震災がこの型の地震です。プレートの内部で、岩盤に力がかかり、岩盤が長距離に渡り破断し、断層ができるときに起こります。浅いところで起きると、地震のエネルギーが減衰しないまま地上に伝わりますので、大きな揺れと被害をもたらします。一方、浅いところで起きる地震は少し離れると被害が少なくなる傾向があります。阪神大震災のときも、大阪ではほとんど被害が出ませんでした。

 皆さんもお住まいの地域でどのような地震が予想されているか、そしてそのような地震が起きたときどれくらいの地域でどのような被害が生じるかをあらかじめ知っておくと、いざというとき慌てずに済むでしょう。 
                                                   (浅原正和)
  参考:
内閣府防災部門による被害想定 首都直下地震被害想定
東海地震被害想定
東南海・南海地震被害想定
阪神大震災でできた断層が、淡路島にある野島断層保存館で保存・展示されています。